インプラント周囲炎の恐怖。天然歯より恐ろしい歯周病のサインと予防法
「痛みもないし、特に困っていないから大丈夫だと思っていました」 インプラント周囲炎が見つかった方から、よく聞く言葉です。インプラントの周りで炎症が進んでいても、ご本人はほとんど気づいていないことが少なくありません。 インプラント周囲炎は、天然の歯の歯周病よりも自覚症状が出にくく、進行も早い病気です。この記事では、インプラント周囲炎の症状や気づきにくい理由、そして大切なインプラントを守るための予防法をお伝えします。 インプラント周囲炎の症状が出る前に知っておきたいこと インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの歯茎や骨に起こる炎症のことです。原因は歯周病と同じく、歯垢(プラーク)にひそむ細菌です。インプラントそのものは虫歯になりませんが、周りの組織は細菌の影響を受けます。 2つの段階がある 炎症の広がり方によって、次の2段階に分けられます。 インプラント周囲粘膜炎 炎症が歯茎だけにとどまっている段階です。この時点で適切な処置を受ければ、元の健康な状態に戻すことができます。 インプラント周囲炎 炎症が骨にまで広がり、インプラントを支える骨が溶け始めた段階です。失った骨は自然には戻りません。 つまり、粘膜炎のうちに見つけられるかどうかが、インプラントを守れるかどうかの分かれ目になります。 インプラント周囲炎の症状が自覚しにくい理由 天然の歯には、歯の中を通る神経に加えて、根の周りに歯根膜という組織があります。歯根膜には、噛んだときの力や歯のわずかな揺れを感じ取るセンサーの役割があります。 インプラントには、歯の神経も歯根膜もありません。そのため、周りの骨が溶けて支えが弱くなっても、違和感として伝わりにくいのです。天然の歯なら「なんとなく浮いた感じがする」と気づける変化も、インプラントでは見過ごされがちです。 天然の歯より進行が早い インプラントの周りの歯茎は、天然の歯に比べて細菌に対する守りが弱い構造になっています。天然の歯では、歯茎の繊維が歯の根にしっかり付着して細菌の侵入を防いでいます。一方、インプラントの周りではこの付着が弱く、血流も少ないため、炎症が骨まで一気に広がりやすくなります。 気づきにくく、しかも進みやすい。これがインプラント周囲炎が怖いといわれる理由です。 インプラント周囲炎の症状とセルフチェック 自覚しにくいとはいえ、まったくサインがないわけではありません。次のような変化に気づいたら、早めに受診してください。 チェックしてほしいサイン 歯磨きのときに、インプラントの周りから血が出る インプラントの周りの歯茎が赤い、腫れている 歯茎を押すと膿が出る、嫌な味がする 口臭が強くなった気がする 歯茎が下がり、インプラントの金属部分が見えてきた 噛んだときに違和感がある、ぐらつく 上のほうにある出血や腫れは、比較的早い段階で出やすいサインです。ぐらつきを感じるころには、骨がかなり失われていることが多く、インプラントを外さなければならない場合もあります。 出血を軽く考えないで 歯磨きで少し血が出る程度なら、様子を見てしまう方も多いと思います。しかしインプラントの場合、出血は粘膜炎の段階で現れる数少ないサインです。痛みがなくても、出血が続くなら受診の目安と考えてください。 インプラント周囲炎の症状を招きやすい人 次に当てはまる方は、インプラント周囲炎のリスクが高いことがわかっています。 リスクが高い方の例 歯周病で歯を失った方 歯周病の原因となる細菌がお口の中に残っていると、インプラントの周りにも炎症が起こりやすくなります。 タバコを吸う方 喫煙は歯茎の血流を悪くし、細菌への抵抗力を下げます。出血などのサインも出にくくなるため、発見が遅れがちです。 糖尿病のある方 血糖値が高い状態が続くと、傷が治りにくく、感染も起こりやすくなります。 ほかにも、歯ぎしりや食いしばりがある方、セルフケアが不十分な方も注意が必要です。噛み合わせの負担が骨にかかり続けると、炎症の進行を早める原因になります。 インプラント周囲炎の症状を防ぐ予防法 インプラント周囲炎は、一度骨まで進むと治療が難しくなります。だからこそ、症状が出る前の予防が何より大切です。 歯科医院でのメンテナンス 自覚症状が出にくい以上、ご自身だけで早期発見するのは困難です。歯科医院では、歯周ポケット(歯と歯茎の間のすき間)の深さを測り、出血の有無やレントゲンでの骨の状態を確認します。 検査 歯茎の状態、歯周ポケットの深さ、噛み合わせを確認します。 レントゲン撮影 目では見えない骨の変化を、前回の画像と比べてチェックします。 クリーニング インプラントの表面を傷つけない専用の器具で、歯ブラシでは届かない汚れを取り除きます。 セルフケアの確認 磨き残しが多い場所をお伝えし、歯間ブラシの選び方や使い方をアドバイスします。 通院の目安は3〜6か月に一度です。粘膜炎の段階で見つかれば、クリーニングやセルフケアの見直しで改善が期待できます。 毎日のセルフケア インプラントと歯茎の境目は汚れがたまりやすい場所です。歯ブラシに加えて、歯間ブラシやデンタルフロス、毛先の細いワンタフトブラシを使い分けると効果的です。 また、喫煙されている方には禁煙をおすすめしています。インプラントを長く守るうえで、できることの中でも効果が大きい対策の一つです。 インプラント周囲炎の症状が出たときの治療 炎症が見つかった場合は、進行度に合わせて治療を行います。粘膜炎の段階であれば、徹底したクリーニングと消毒で改善を目指します。 骨が溶け始めている場合は、歯茎を開いてインプラント表面の汚れを取り除く外科処置が必要になることがあります。失った骨を再生させる処置を組み合わせることもあります。当院では骨造成を専門に研究してきた歯科医師が担当し、骨の状態に応じた治療をご提案しています。 ただし、どれほど治療技術が進んでも、早く見つけるに越したことはありません。 骨造成について詳しく見る 当院の治療後のメンテナンスについて 治療後まで見届けて初めて成功 インプラント治療は、人工の歯が入った時点で終わりではありません。当院では、治療後も問題なく噛める状態を長く保てて、初めてインプラント治療が成功したといえると考えています。そのため、治療が終わったあとのケアにもこだわっています。 1回60分かけてじっくり確認 当院のメンテナンスは、1回あたり60分の時間をとって行います。歯茎や骨の状態、噛み合わせの変化をじっくり確認したうえで、インプラントの周りを丁寧にクリーニングします。短い時間では見落としやすい小さな変化にも気づけるよう、お一人おひとりに十分な時間を確保しています。 自費診療だからできる細やかなケア メンテナンスはすべて自費診療です。保険診療では決められた範囲の処置しか行えませんが、自費診療であれば、お口の状態に合わせて必要なケアを細部まで行えます。汚れが残りやすいインプラントと歯茎の境目や、セルフケアでは届きにくい場所まで、時間をかけて対応しています。 当院からのお願い インプラント周囲炎は、痛みが出てから受診したのでは遅いことが多い病気です。症状がなくても、定期的なメンテナンスに必ずお越しください。 他院でインプラント治療を受けた方のメンテナンスや、出血・腫れなどが気になる方のご相談も受け付けています。気になることがあれば、どうぞお気軽にご連絡ください。 ご予約はこちらから
2026.10.14
医療法人社団 誠慎会|峯歯科 高輪松ケ丘